趙孟頫(1254~1322)は、元初の代表的な官僚、文人画家、能書家。字は子昂。元初の代表的な官僚、文人画家、能書家。子昂はその字。南宋の皇族であったが、三十三歳のとき元の世祖クビライに抜擢され、以来五朝三十五年を高官としてすごす。書画ともに復古を唱え、元代書壇を主導した。この書冊は、趙孟頫が当時の傑僧中峰明本に宛てた書簡六通からなり、王羲之の書風に熟達し、整えられた暢達な書に、中峰に対する深い敬慕の念や私人としての率直なる心情が吐露されている。