藤原公任撰『倭漢朗詠集』(11世紀初め頃成立)を書写した二軸で、掛川藩主太田家に伝来したことから「太田切」と称される。料紙は、藍・薄藍・薄黄などに具引きした舶載の唐紙を美しく配色し、日本で金銀泥により花鳥草木、蝶や野馬などを描き加えたもの。書の筆者は不詳とされるが、端正優雅な書風の漢字と変化に富んだ仮名書きとが並んでおり、詩歌・書体・料紙の各々において和漢が競われている。