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展示作品解説

① 国宝 曜変天目(「稲葉天目」) 建窯 南宋時代(12~13世紀)と仕覆 左より、「紺地二重蔓牡丹唐草文金地金襴仕覆」明時代(14~15世紀)と「白地雲文金襴仕覆」明時代(15~16世紀)

静嘉堂所蔵の曜変天目(「稲葉天目」)には2つの仕覆が添っています。これは、茶碗でありながら大変珍しいことです。
曜変天目とともに稲葉家から伝来した「紺地二重蔓牡丹唐草文金地金襴仕覆」と、岩﨑家の所蔵となってのちに(昭和9年以降)新たに誂えられた「白地雲文金襴仕覆」は、曜変天目の格に相応しい名物裂の逸品で、いずれも中国・明時代、今から5~600年ほど前に製作された貴重な絹織物です。

② 重要美術品  唐物茄子茶入「利休物相」(りきゅうもっそう)【千利休所持・伊達家伝来】の次第(しだい)。茶入挽家(ひきや)、堆黒菱盆、蒔絵の内箱、仕覆5つ、象牙の替蓋など。展示では、箱を包む、華やかな“古渡り更紗”の風呂敷も添えて陳列します。

本茶入は、千利休(1522~91)所持によって名があり、のち徳川第三代将軍、家光から伊達政宗に下賜されて以降、仙台藩主・伊達家に長く伝来した“大名物(おおめいぶつ)”の茶入です。牙蓋(げぶた)や中国漆器の盆、それにアジア圏の多様な染織品が加えられ、その次第(付属品)は実に国際色豊かです。何百年も前の染織品がいまだ“現役”で用いられているというのも、日本の書画の表具や茶道具ならではのことで、驚かれる事実です。

「利休物相」付属の「仕覆」:左から「薄茶羅地唐花文刺繍仕覆」、「蜀金仕覆」、「笹蔓手唐草文緞子仕覆」、「輪違緞子仕覆」、いずれも明時代(15~16世紀)と、「唐花兎文段織仕覆」インド(16~17世紀)。

挽家の仕覆(「蜀江錦」)の前には、貴重な中国やインド製の名物裂、刺繡からなる、丸くかわいらしい仕覆が5つ。 “緒つがり”と呼ばれる紐の部分も、それぞれ異なる配色で仕立られた、仙台藩主・伊達家の見事な“仕覆コレクション”です。

③ 重要美術品  唐物肩衝茶入「樋口肩衝(ひのくちかたつき)(山井肩衝)」【伊達家伝来】の仕覆:左から「望月間道仕覆」明時代(16~17世紀)、「白極緞子仕覆」明時代(14~15世紀)。

肩の張った姿のこの茶入は、唐物肩衝茶入「樋口肩衝(ひのくちかたつき)」で、樋口石見守知秀が所持、のち徳川家康-伊達政宗-徳川家光-伊達忠宗・・・と伊達家に長く伝来した“大名物”茶入です。仕覆は2つ付属しています。
右側の「白極緞子(はくぎょくどんす)」は、足利義政に仕えた鼓打ちの名手「白極」が義政から拝領した鼓の袋裂であったことに由来するといい、襷(たすき)の地に丸い鳥文が配されています。
もう一つの「望月間道(もちづきかんどう)」は、茶人・望月宗竹(1692~1749)所用の裂からの名とも言われています。一見地味なこの裂を拡大して見ると、赤茶・白・縹(はなだ)色(青)の色糸が変化をつけて織られていることがわかります。

④ 黒塗大棗 利休在判 桃山時代(16世紀)と仕覆:左から「蓮池水禽文縫取織仕覆」清時代(17~18世紀)、「白地二重蔓牡丹文金襴仕覆」明時代(15世紀)、「茶地大牡丹文金襴仕覆」明時代(15世紀)、御物袋:朱縮緬、箱タトウ:「白地萌黄縞唐桟(とうさん)」(裏は鹿皮)

安土・桃山時代、“茶の湯”が大成されてゆく過程で、竹茶杓・手桶水指・樂茶碗が茶席で用いられるようになり、棗(なつめ)もまた、武野紹鷗(1502~55)や千利休(1522~91)ら茶匠の好み物が制作されました。黒塗りの棗は、茶入同様に大切に扱われたため、これにも優れた仕覆が複数添うことがあります。
千利休ゆかりのこの棗には、金襴の見事な名物裂仕覆2つと、蓮池水禽文を繊細に織り出した裂の仕覆が添っています。

⑤ 静嘉堂所蔵の茶銚の仕覆-「草花文更紗仕覆」「格天井(ごうてんじょう)更紗仕覆」「亀甲手更紗仕覆」「菱手更紗仕覆」「巴手更紗仕覆」インド(17~18世紀)、「茶地龍文綾織仕覆」清時代(18世紀)など。

江戸時代後半から盛んとなった煎茶文化に目を向けると、インド製の異国風の文様が鮮やかな木綿布-「更紗(さらさ)」が江戸時代中期ころまでに少なからず輸入され、持ち主が愛玩する茶銚(ちゃちょう)(横手の急須)や茶心壺(ちゃしんこ)(茶葉を入れる錫製の茶器)などの仕覆や、道具の風呂敷などに仕立てられました。大判の布地はそのまま、煎茶会を国際色豊かに演出する敷物として利用されることもありました。
茜・藍・白地に異国風の可憐な花模様、丸文や菱文、亀甲文・幾何学文などさまざまなデザインが見られます。「名物裂」と同様、日本の数寄者たちは、「更紗」においても “○○手”などと名を付けて分類し、大切に伝えてきました。

⑥ 煎茶の茶葉を入れる「錫(すず)菱茶心壺」と「錫六角茶心壺」(清時代)の仕覆-ともに「緑地花枝文金更紗仕覆」インド(18~19世紀)

本展出品の煎茶道具の仕覆の中には、文様の線描の上に濃密な金を置いた、貴重な「金更紗」で仕立てられたものがあります。保存良く伝えられた、キラリと輝く金更紗の繊細な美しさを、是非間近でご鑑賞ください。