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入門 墨の美術 ―古写経・古筆・水墨画― The Diversity of Ink Arts — Sutras, Ink Paintings and Calligraphy

[会期] 2019年8月31日(土)~10月14日(月・祝) [休館日]毎週月曜日 (ただし9月16日・9月23日・10月14日は開館)、9月17日(火)、9月24日(火)

奈良時代には仏教の広がりとともに、国家事業としても写経が盛んに行われ、それは明確な役割分担をした写経所のスタッフが担いました。平安時代、貴族は手習い(=習字)を大事な教養として学び、その和様の書は美しく装飾した料紙の上に流れるような線で書写されます。鎌倉時代にその萌芽がみられ、室町時代の禅宗文化や唐物の流行を象徴する水墨画は、墨のトーンを巧みに用い、鑑賞者を絵画空間へいざないます。
その時々でさまざまに用いられ、時代の美意識を如実に表現する墨。本展では、「古写経」「古筆」「水墨画」に注目し、静嘉堂所蔵の名品約30点を通して、多彩で奥深いモノクロームの世界をわかりやすく紹介します。

展示構成

第1章 祈りの墨―古写経― 第2章 雅なる墨―古筆― 第3章 墨に五彩あり―水墨画―

展示作品解説

①「華手経 巻第四」(五月一日経) 紙本墨書 天平10年(738) 一巻

奈良時代を代表する古写経の一つで、光明皇后(701~760)が父藤原不比等(ふじわらのふひと)(659〜720)と母県犬養三千代(あがたのいぬかいのみちよ)(橘三千代、?〜733)の追善供養を目的に発願した一切経(いっさいきょう)です。「写経体」と呼ばれる謹直な字で書かれています。

②「寸松庵色紙」 紙本墨書 平安時代(11世紀) 一幅

雲母で亀甲の文様が刷られた唐紙(からかみ)を料紙に用い、『古今和歌集』の四季の和歌を流麗な仮名で散らし書きした、平安時代後期の古筆切。料紙の上部に和歌を集約し、右下に「つらゆき」(貫之)と添えています。武士で茶人でもあった佐久間真勝(実勝、1570~1642)が元和7年(1621)に建立した「寸松庵」に伝来したことから、その名称があります。

③国宝「倭漢朗詠抄 太田切」(下軸)紙本墨書 平安時代(11世紀) 二巻のうち一巻 修理後初公開!!

藤原公任(966~1041)の撰による588首の漢詩句と216首の和歌からなる詩歌集『和漢朗詠集』下巻の一部。当時、大陸から舶載された華麗な唐紙に、金銀泥による大和絵風の下絵を加え、漢詩と和歌を墨書した巻子装です。その仮名は大小さまざまに変化をつけた大胆かつ軽快な書風です。二巻のうち一巻のみ展示。

④重要文化財 伝周文「四季山水図屏風」紙本墨画淡彩 室町時代(15世紀) 六曲一双 修理後初公開!!

15世紀に流行した画僧・周文の水墨山水画のスタイルの中でも、最も成熟した作。本屏風は右から左へ四季が移ろい、深遠な山水空間が広がります。鑑賞者は右端の楼閣のテラスで語らう二人の後ろ姿に導かれ、春の訪れを告げる梅樹、その向こうに屹立する山に圧倒されます。左隻の遠山は真っ白な雪山です。計算しつくされた構成と見事な筆墨による大気の表現は圧巻。

(右隻)
(左隻)

開催概要

会期:2019年8月31日(土)~10月14日(月・祝)
休館日:毎週月曜日(ただし9月16日・9月23日・10月14日は開館)、9月17日(火)、9月24日(火)
開館時間:午前10時~午後4時30分(入館は午後4時まで)
入館料:一般1,000円、大学生・高校生700円、中学生以下無料 ※20名様以上の団体は200円割引

イベント情報

1.講演会

会場:当館地階講堂
定員:120名
聴講料:無料(ただし、当日の入館券が必要)
申込方法:当日、開館時より整理券配布(1名様につき1枚)

(1)「奈良時代の写経をひもとく」
日時:9月21日(土) 13:30~15:00(開場13:15)
講師:市川理恵氏(東京大学史料編纂所研究支援推進員、駒沢女子大学兼任講師)

(2)「室町時代における水墨描法の確立」
日時:9月29日(日) 13:30~15:00(開場13:15)
講師:相澤正彦氏(成城大学教授)

2.河野元昭館長のおしゃべりトーク

会場:当館地階講堂
定員:120名
聴講料:無料(ただし、当日の入館券が必要)
申込方法:当日、開館時より整理券配布(1名様につき1枚)

「饒舌館長ベストテン―好みの墨絵―」を口演す
日時:9月14日(土) 13:30~15:00(開場13:15)
講師:河野元昭(静嘉堂文庫美術館館長)

3.秋のフルート四重奏コンサート

10月13日(日)午後1時30分開演(要事前予約)

★演奏会情報: 詳細はこちら(PDF)

★プログラム・演奏者紹介: 詳細はこちら(PDF)


4.列品解説(いずれの回も30分程度) ※当日有効の入館券が必要です。

展示内容・作品について担当学芸員が解説します(展示室または講堂にて)。
午前11時~:9月12日(木)、9月26日(木)
午後2時~:10月5日(土)、10月12日(土)