文庫の建物は、桜井小太郎(1870~1953)の設計により、大正13年(1924)に建てられました。鉄筋コンクリート造2階建スクラッチ・タイル貼りの瀟洒な外観は、当時のイギリス郊外住宅のスタイルを顕著に表しています。
庭園内にある廟(納骨堂)は、桜井の師である英国人建築家、ジョサイア・コンドル(1852~1920)の設計によるもので、明治43年(1910)に建てられました。鹿鳴館の設計で知られるコンドルは、岩﨑彌之助の深川邸洋館(現・清澄公園内、現存せず)や高輪邸(現・開東閣)、三菱一号館(2009年復元、現・三菱一号館美術館)など、岩﨑家ゆかりの建物も数多く手がけています。
文庫は、原則として内部は非公開です。廟は現在も墓所として使用されているものなので、観覧の際にはご配慮願います。
武蔵野の面影を色濃く残した庭園では、美術館南側斜面の梅園や美術館入口脇のギンモクセイなど、四季折々のさまざまな樹木や花々を楽しむことができます。展覧会鑑賞の後、散策されてみてはいかがでしょう。(美術館の閉館時間とともに閉園となります)