国宝 俵屋宗達「源氏物語関屋・澪標図屏風」、重要文化財 尾形光琳「住之江蒔絵硯箱」が、このたび長い修理を終え静嘉堂に戻ってきました。今回、それぞれの代表作として名高いこの2点の新たな装いを修理後初披露するとともに、宗達・光琳・抱一にまつわる書画工芸の数々を一堂に展示いたします。
新しい展示空間で、静嘉堂でしか見ることのできない極上の美の世界を、この機会にぜひご堪能ください。
『源氏物語』第十四帖「澪標」と第十六帖「関屋」を題材とした本作は、宗達の作品中、国宝に指定される3点のうちの1つとして著名です。明治29年(1896)頃に、醍醐寺への寄進の返礼として、静嘉堂の創始者である岩﨑彌之助に贈られました。
絵具の剥落や画面の亀裂等の損傷がはなはだしく、静嘉堂文庫美術館では、国及び東京都の助成を受け修理事業に着手してまいりました。このたび無事に修理を終え、静嘉堂にて約10年ぶりの公開となります。
モチーフを限定し直線と曲線を見事に使いわけた大胆な画面構成、金・緑・白を主調とした巧みな色づかいなど、宗達画の魅力を存分に伝える傑作の新たな装いを、この機会にぜひお楽しみください。
蓋甲が山形に盛り上がった斬新な器形の硯箱。波濤と岩塊の意匠に『古今和歌集』巻十二藤原敏行の歌が配されています。光琳自筆の箱書から、本阿弥光悦の蒔絵硯箱を写したものとわかります。光悦の特色をよく受け継ぎながらも独自の創意を加えた本作は、光琳蒔絵の頂点を示すものの一つといえます。
制作から約300年を経て金属の劣化がすすみ、今回、錆の除去と腐食防止を目的とした修理を行いました。
尾形光琳「鵜船図」、酒井抱一「波図屏風」・「絵手鑑」、鈴木其一「雨中桜花紅楓図」・「雪月花三美人図」など、静嘉堂所蔵の琳派の名品を一堂に展示いたします。また「波図屏風」付属書簡・自筆句稿『軽挙館句藻(けいきょかんくそう)』など、門外不出の抱一自筆資料をはじめ、関連版本もあわせて公開いたします。
松花堂昭乗「勅撰集和歌屏風」や重文 野々村仁清「色絵吉野山図茶壺」、原羊遊斎「雪華蒔絵印籠」など、同時代の諸作品もお楽しみいただきます。
期間中、ラウンジにて国宝「曜変天目(稲葉天目)」、重文「油滴天目」を全期間展示いたします。
自然光によって様々な表情を見せる曜変天目をお見逃しなく!
◆静嘉堂文庫美術館では、ラウンジから富士山も御覧いただけます(天候に左右されます)◆
※展示作品については予告なく変更する場合があります。
「これであなたも琳派通!」 河野元昭(静嘉堂文庫美術館 館長)
日時:11月21日(土)午後1時30分~
場所:地階講堂
定員:120名(当日先着順)
参加費:無料(但し当日有効の鑑賞券が必要)