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超・日本刀入門 ~名刀でわかる・名刀で知る~ <期間>2017年1月21日(土)~3月20日(月・祝) <休館日>月曜日(3月20日は開館) 明治のサムライ実業家、秘蔵のコレクション

武士の魂“日本刀”は、1000年におよぶ歴史のなかで、武器として武人を鼓舞し、美術品としても鑑賞されてきました。近年ブームに沸きながら、しかし道具としても美術品としても身近ではない日本刀。「全部同じに見える」「どこを見ればいいのか分からない」「専門用語が難しすぎる」といったさまざまな疑問やお悩みを徹底的に解決します!
国宝の「手搔包永太刀(てがいかねながたち)」をはじめとする選りすぐりの名刀約30振から、日本刀の主な見どころ―姿・刃文(はもん)・鍛え肌(きたえはだ)の鑑賞や、刀剣の歴史や産地、戦国武将が所持した刀の逸話など、めくるめく刀剣の魅力に迫ります。



下記より出品目録をご覧いただけます。
出品目録(208KB)

主要展示作品

見どころ1:所蔵の国宝・重文刀剣9件全てが揃い踏み!

静嘉堂所蔵の刀剣は約120振、そのうちには国宝1件、重要文化財8件が含まれています。本展では、その中から30振を精選、所蔵する国宝・重文の刀剣9振すべてが美術館開館以来、初めて一堂に会します!

健全なる「大和魂」、国宝・包永

国宝 手搔包永太刀(てがいかねながたち) 鎌倉時代(13世紀)

附 菊桐紋糸巻太刀拵(きくきりもんいとまきだちごしらえ) 江戸時代(18~19世紀)

包永は、大和国最大の刀工集団・手搔派の祖で、奈良東大寺輾磑門(てんがいもん)前に住したという。本刀は、大和物らしい鎬(しのぎ)高く反り高い姿と柾目(まさめ)の鍛え肌、直ぐ調で二重刃がかり、華やかな変化に富む刃文が特色となっている。正応年間(1288~93)頃に活躍した初代の稀有な在銘作であり、700余年の時代を感じさせぬ健全な出来は大和物を代表する名作といえよう。

見どころ2:織田信長・滝川一益・直江兼続etc.…戦国武将たちの名刀

刀匠をはじめとする多くの職人たちの手を経て生み出され、数百年の時をこえて今に伝わる古い日本刀は、名だたる武将たちの愛刀となり、戦陣においてサムライたちの心を奮い立たせてきました。静嘉堂には皆様ご存じの超有名戦国武将から、知る人ぞ知るマニア好みの武将まで、彼らの所持した刀が伝わっています。本展では、そのうち代表的な7振を出品いたします。

信長より拝領の朱鞘の太刀!「滝川高綱」

重文 古備前高綱太刀(こびぜんたかつなたち)(号「滝川高綱」) 鎌倉時代(12~13世紀)

附 朱塗鞘打刀拵(しゅぬりざやうちがたなごしらえ) 桃山時代(16世紀)

「滝川高綱」の太刀は、織田家重臣で織田四天王のひとり、滝川一益(たきがわかずます)(1525~1586)が主君織田信長より賜ったものという。一益は伊勢攻略で活躍、武田討伐の際には武田勝頼を天目山に追い詰め討ち取る功績をあげ、上野一国と小県郡・佐久郡を与えられている。本刀もその折に拝領したと伝えられ、朱鞘の拵の頭金具には「織田木瓜」の家紋とともに、信長が足利将軍家より賜った桐紋が配されている。

【伝来】織田信長―滝川一益(滝川家重代)…岩﨑彌之助

「愛」の武将・直江兼続へ贈られた秀吉の形見

伝 長船兼光刀(でん おさふねかねみつかたな)(大磨上げ無銘(おおすりあげむめい)、号「後家兼光」) 南北朝時代(14世紀)

附 芦雁蒔絵鞘打刀拵(あしかりまきえざやうちがたなごしらえ) 明治時代(19世紀)

直江兼続(なおえかねつぐ)(1560~1619)は上杉景勝の重臣で、「愛」の前立の兜で知られる武将。秀吉から特に気に入られ、大名の家臣(陪臣)でありながらその遺品である本刀を賜った。兼続没後は未亡人のお船の方から主家の米沢藩主上杉家へと献上された。米沢藩は幕末、佐幕派の「奥羽越列藩同盟」に加わるが、姻戚関係にあった土佐藩の助力により、厳罰を受けずに済んだことから、その礼として本刀が藩主山内家へ贈られたと伝えられる。

【伝来】豊臣秀吉―直江兼続―米沢藩主上杉家―土佐藩主山内家…岩﨑彌之助

日置豊前守所持・前田家伝来の名物「日置安吉」

重文 名物 日置安吉短刀(めいぶつ へきやすよしたんとう)
南北朝時代(14世紀)

日置豊前守忠俊(へきぶぜんのかみただとし)(1571~1641)は岡山藩家老。池田輝政・利隆・光政の3代にわたって仕えた。本刀は、江戸幕府8代将軍徳川吉宗のときに本阿弥家によって編纂されたといわれる『享保名物帳』所載の「名物刀剣」の一振で、幅広く力強い姿と緻密で美しい地鉄(ぢがね)が特徴。

【伝来】日置忠俊…加賀藩主前田家…今村長賀―岩﨑彌之助

見どころ3:重要文化財「平治物語絵巻 信西巻」(鎌倉時代)を3期に分け特別公開‼

源平の争乱の前触れとなった「平治の乱」(1160年)。そのおよそ100年後の鎌倉時代中期に描かれたと考えられる「平治物語絵巻」は、現在「三条殿夜討巻」(ボストン美術館)、「信西巻」(当館)、「六波羅行幸巻」(東京国立博物館)の3巻が現存しています。会場に並ぶ鎌倉時代の刀剣と合わせ、絵巻の中に細かく描写された太刀や薙刀、鎧兜の様子をじっくりとご覧ください。

重文 平治物語絵巻信西巻(部分) 鎌倉時代(13世紀)※会期中展示替えがあります。

「信西巻」は「信西獄門巻」ともいい、後白河上皇の近臣として権勢を誇った信西(1106~1160)が追われて自害し、その首級が獄門に掛けられるまでを描いた全長10mの絵巻。上図は本巻のクライマックスで、討たれた信西の首をかかげ三条大路を進む検非違使(けびいし)・源資経の隊列。

開催概要

会期:2017年1月21日(土)~3月20日(月・祝)

休館日:毎週月曜日(3月20日は開館)
開催時間:午前10時~午後4時30分(入場は午後4時まで)
入館料:一般1,000円、大高生700円、中学生以下無料 ※団体割引は20名以上

*リピーター割引:会期中に本展示の入館券をご提示いただきますと、2回目以降は200円引きとなります。

講演会情報

(新規追加講演)
2017年2月5日(日)午後1時30分~
題目:絵巻物 -平治物語絵巻を中心に
講師:河野元昭 (静嘉堂文庫美術館長・文庫長、東京大学名誉教授)
*日本近世美術史学者で琳派の研究を中心に多くの著作、講演を手掛ける館長・河野による講演会を開催します。
   通称「おしゃべり館長」のトークをお楽しみ下さい。

地階講堂にて先着120名様(当日、開館時より整理券配布)
*整理券はお1人様につき1枚のみの配布
   午後1時15分開場、整理券の番号順にご入場いただきます。

(吉川永一氏対談の追加開催)
1回目:2017年2月19日(日)午前10時45分~
2回目:2017年2月19日(日)午後1時30分~

題目:静嘉堂名刀ものがたり ウラおもて
対談:吉川永一氏(日本刀剣保存会 幹事・宮内庁侍従職御物御剣掛)
         山田正樹(本展担当学芸員)
※宮内庁の御剣や静嘉堂の刀剣類を永年手入れし続けてきた吉川氏に、研師ならではのさまざまな
お話をうかがいます。

地階講堂にて各回先着120名様(当日、開館時より整理券配布)
*整理券配布時に、ご希望の講演時間を1つだけご指定下さい。
   整理券はお1人様につき1枚のみの配布

開場時間:1回目 午前10時30分、 2回目 午後1時15分
*整理券の番号順にご入場いただきます。


(企画展関連イベント)
職方実演会「日本刀にたずさわる職方の技」
日時:3月4日(土) 午前10時~16時30分
会場:地下講堂

日本刀制作にたずさわる職人たち―職方のうち、刀匠・研師・鞘師をお招きし、刃文を焼く際の「土置き」や刀剣の研磨、鞘のかき入れ(削り出し)など、刀剣制作の工程の一部をご覧いただきます。

実演:水野美行(みずのよしゆき)氏(日本刀鞘師)、小澤茂範(おざわしげのり)氏(刀匠)、
         川上陽一郎(かわかみよういちろう)氏(研師)

※見学のための整理券の発行は行いません。随時ご覧ください。

学芸員による列品解説

展示内容・作品について担当学芸員が解説します。(展示室または地階講堂にて)

午前11時から  2月11日(土・祝)、3月11日(土)
午後2時から  1月26日(木)、2月23日(木)