丸く愛らしい顔立ちに品格のただよう、幼児の姿をした内裏雛(だいりびな)をはじめ、子供仕立てに作られたお雛さま(稚児雛(ちごびな))は、昭和初期、三菱第4代社長の岩﨑小彌太(1879-1945)が、夫人孝子のために、京人形司の老舗 「丸平大木人形店」の五世大木平藏に、特別に誂えさせたものです。豪華な装束の織りや染め、刺繡、金工など、精緻を尽くした工芸美が随所に見られるこの雛人形は、戦後ひとたび散逸しましたが、桐村喜世美(きりむらきよみ)氏(茂照庵(もしょうあん)・京都福知山市)により、段飾りの雛人形15体すべてと道具類の多くが集められ、2018年、岩﨑家ゆかりの静嘉堂に寄贈されました。
本展は、この「岩﨑家雛人形」とともに、武者人形や犬筥(いぬばこ)など人形の優品が多数、静嘉堂に寄贈されたことを記念し、感謝をこめて開催するものです。
また五世大木平藏の傑作とうたわれる、小彌太の還暦祝いに孝子夫人から贈られた、58体からなる日本の童子や唐子たち、七福神の寿ぐ「木彫彩色御所人形」も、一堂に並びます。
喜びの表情にあふれるかわいらしい人形たちの姿を、静嘉堂庭園の梅の季節にどうぞお楽しみ下さい。
昭和初期、岩﨑小彌太(三菱第4代社長・1879‐1945)が夫人孝子のためにと、当時随一の京の人形司・五世大木平藏(1886‐1941)に注文した雛人形は、他にはない特別仕様のもので、内裏雛(だいりびな)は、愛らしい幼児の姿をあらわした“稚児雛(ちごびな)”と呼ばれる姿に作られています。女雛には織の美しい十二単(じゅうにひとえ)、精緻な金工の技を示す冠も添うなど、有職(ゆうそく)の世界に即した美術工芸の美が随所に見られます。
静嘉堂の人形コレクションには、これも五世大木平藏の傑作とされる、木彫に丁寧な彩色を施した御所人形の大群像があります。昭和14年(1939)、岩﨑小彌太の還暦祝いとして孝子夫人が「丸平大木人形店」に特注したものです。頭が大きく可愛らしい御所人形スタイルにつくり、七福神が、鯛車曳き・楽隊、宝船曳き・輿行列・餅つきのグループに混ざって、卯年生まれの小彌太の還暦を寿ぐ構成に作られた、総勢58体からなる組物です。人形たち全てがうさぎの冠を被り、岩﨑家家紋の入る衣装をまとっています。そのうち、宝船に乗る布袋様は恰幅の良かった岩﨑小彌太に、輿に乗る弁天様は孝子夫人に似せて作られたものといわれます。
本展では、このたびの桐村家寄贈品と岩﨑家旧蔵の人形コレクションの中から、個性豊かな名品を展示します。注目されるのは、長さ43センチという大型の犬筥をはじめ、まん丸の“次郎左衛門頭”をつける高さ65cmの立雛の大作など。ともに江戸時代後期の、見事な彩画がなされたものです。
会期:2018年1月29日(火)~3月24日(日)
休館日:月曜日(2月11日は開館)、2月12日(火)
開館時間:午前10時~午後4時30分(入館は午後4時まで)
入館料:一般1,000円、大高生700円、中学生以下無料
※団体割引は20名以上
※リピーター割引:会期中に本展示の入館券をご提示いただけますと、2回目以降は200円引きとなります。
※本展会期中、「三井記念美術館との相互割引」があります。(本HP末尾をご参照下さい。)
※いずれも当日の入館券が必要です。
往信裏面に参加者全員(1枚につき2名まで)の住所・氏名(ふりがな)・電話番号を明記して下さい。
返信表面に郵便番号・住所・氏名を明記して下さい。
当日は予約番号順の入場。
157-0076 東京都世田谷区岡本2-23-1 静嘉堂文庫美術館「大村智氏講演会」係
※定員(満席)になり次第、静嘉堂HP「お知らせ」欄にその旨掲示いたします。
ハローダイヤルへのお問い合わせ、往復はがき返信でも「申し込み終了」の旨、回答させて頂きますこと、予めご了承下さい。
展示内容・作品について担当学芸員が解説します。(展示室にて)
1月31日(木)・2月14日(木)・3月14日(木):午後2時~
2月9日(土)・3月9日(土):午前11時~